子どもが熱を出した。また休まなきゃいけない。
仕事中に呼び出しの電話、そのまま早退。こういう日を何度も繰り返してきました。
歯科衛生士として働きながら、重度知的障害と自閉症のあるぽんたを育てているシングルマザーです。
歯科衛生士は、休まず働けるなら安定した収入が得られます。ただ、障害のある子を育てていると、その休まずがいちばん難しい。
お金は要る。でも休まないといけない。この間に挟まれて、もうこの仕事を辞めようかと考えている人は多いと思います。
この記事には、辞める以外の道と職場の選び方を書きます。
結論|辞めなくても続けられる。ただし職場は選ぶ
先に答えを書きます。障害のある子を育てながらでも歯科衛生士は続けられます。ただし職場は選ぶ必要があります。
職場によって、休みやすさが全然ちがうからです。人が足りている医院や、ぎりぎりの人数でやっているところもあります。
だからこの仕事を辞めると決める前に、一度考えてみてほしいんです。続けられないのは仕事のせいじゃなくて、今の職場が合っていないだけかもしれません。
働きながらぶつかる3つの壁
熱を出すたびに休むことになる
体調を崩しやすい子は多いです。ぽんたもよく熱を出しました。
歯科は予約制です。自分が休むと、その日に来るはずだった患者さんにキャンセルの連絡をしてもらうことになります。時間を空けて待っていてくれた人がいるわけで、申し訳ない気持ちに毎回なります。
学校からの急な呼び出し
朝元気に登校しても、学校でかんしゃくを起こして怪我をしてしまい、連絡が来たこともあります。
子どもの状態によっては、いつこの電話が来るかわからないまま働くことになります。急な呼び出しへの対応は求人票には書いていないところですが、職場選びで一番効いてくるのはここです。
有給が人より早くなくなる
定期受診・療育・学校の面談・手帳や手当の手続き。ひとつずつは短くても積み上がるとそれなりの日数になります。自分の体調や旅行のために取っておく余裕はありません。
続けられる職場の5つの条件
| 条件 | なぜ大事か |
|---|---|
| 誰か休んでも回る人数がいるか | ひとり抜けると回らない職場では、休みづらく続かない |
| シフトが先まで読めるか | 予定が見えると、通院や面談を入れやすい |
| 常勤以外の選択肢があるか | 働き方を変えられれば、状況が変わっても辞めずに済む |
| 家や学校から近いか | 呼び出しですぐ行ける距離かどうかが重要 |
| 一番上の人が事情を知っているか | 現場の空気も大事だが、トップでその職場の雰囲気が決まる |
わかってくれる人かどうかは、立場では決まらない
これは意外かもしれません。
急な早退や欠勤に対しての考え方は、その人の年齢でも子どもの有無でも決まりません。
子育ての経験がない人でも、子どものことなら仕方ないよねとあっさり受け止めてくれる人がいたり、障害のことを詳しく知らなくても理解を示してくれる人はいます。
経験があるからわかってくれる、というわけでもありません。
だから職場を選ぶとき、子育て中の人が多いかどうかより、一番上の立場の人が事情を受け止めてくれるかどうか。ここが大きいです。
わたし自身、ぽんたの障害のことを詳しく話すのには抵抗があります。それでも、職場の一番上の人にはしっかり話してあります。
休みが続いて申し訳ないと伝えたとき、それで離れてしまう患者さんなら仕方ない、と言ってもらえました。
こういう職場ばかりではないと思います。今しんどいなら、決める立場の人と合っていないだけかもしれません。
働きやすい職場の探し方3つ
1. 求人サイトで自分で探す
自分のペースで探せますし余計な連絡も来ません。
ただ、求人票に書いていないことは面接まで分かりません。人が足りているか。休むときの空気はどうか。障害のある子を育てながら働くうえで一番知りたいところが、外からは見えません。
2. 転職エージェントを使う
歯科衛生士向けのエージェントは、求人を出すだけでなく条件の交渉も間に入ってくれます。
事情を先に伝えておけば、合わない職場は最初から外してもらえます。求人票に出ていない中の話を持っていることもあります。急な休みが避けられない立場だと、ここは大きいです。
3. 知人の紹介
中の様子が分かるのが一番の強みです。
ただ、合わなかったときに辞めにくくなります。紹介してくれた人との関係も残るのでそこは慎重に。
エージェントを使うときに気をつけること
わたしも一度登録しましたが、使い込む前に自分で見つけてしまって、そのままやめました。だから使い倒した感想は書けません。
ただ、登録したら転職しないといけない、というものではないです。自分で探しながら並行して見てもらって、先に見つかればそれで終わり。それくらいの距離感で大丈夫でした。
- 事情は最初に全部伝える。 子どもの障害のこと、急な休みが出ること、通院があること。あとから言うと、お互いの時間が無駄になります
- 勧められた求人は断っていい。 断ることを前提にした仕組みです。気まずく思う必要はありません
- 連絡の頻度と手段は先に希望を言う。 電話が苦手ならメールだけにしてほしいと伝えておくと楽です
- 複数に登録してもかまわない。 ただし同じ医院に重ねて応募しないよう、どこを紹介されたかは控えておきます
よくある疑問
ブランクがあっても戻れますか
歯科衛生士は資格があるので、ブランクがあっても戻りやすいです。器具や材料は変わっていきますが、現場で覚え直せる範囲がほとんどです。復帰した人を受け入れている医院かどうかを、探すときの条件に入れておくといいです。
常勤じゃないと収入が足りないのでは
歯科衛生士は時給が高めです。常勤でなくても、時間単価で見れば他の仕事より悪くありません。手当や助成もあわせて考えると、選べる幅は思っているより広いです。


面接で子どものことをどこまで話せばいいですか
急に休む可能性があるなら、伝えておいたほうがお互いのためです。黙って入って、休むたびに肩身の狭い思いをするほうがつらくなります。
診断名や細かい事情まで話す必要はありません。子どもの通院や体調で急に休むことがある。その頻度はどれくらいか。この2つが伝われば十分です。
まとめ
- 障害のある子を育てながらでも、歯科衛生士は続けられる
- ただし休みやすさは職場によって全然ちがう
- 続けやすい職場は、人が足りていて、シフトが読めて、働き方を変えられて、家から近くて、一番上の人が事情を知っている
- わかってくれるかどうかは、年齢や子育て経験では決まらない
- 探し方は求人サイト・エージェント・紹介の3つ。事情がある人はエージェントが向いている
- 歯科衛生士を辞めると決める前に、職場が合っていないだけではないかを一度考えてみてほしい
この記事は、歯科衛生士として働きながら障害のある子を育てている個人の経験と調べた情報をもとに書いています。制度や職場の状況は地域や医院によってちがいます。実際の労働条件は、それぞれの職場やお住まいの地域の窓口でご確認ください。

