特別児童扶養手当のことは、手帳を取ったときや役所の窓口で案内されて知っている方が多いと思います。では障害児福祉手当はどうでしょうか。名前を初めて聞いたという方が、実はとても多い制度です。
この手当は重度の障害がある20歳未満の子ども本人に支給されるもので、月額は16,560円。しかも特別児童扶養手当と両方受け取れます。対象になるのに申請していなければ、年間で約20万円の差になります。
わたしも、この手当の名前をずっと知りませんでした。特別児童扶養手当は窓口で教えてもらえたのに、こちらは誰も口にしなかった。同じ立場のお母さんから名前を聞いて、そんな制度があるのかと調べ始めたのがきっかけです。重度知的障害・自閉症の息子を育てるシングルマザーとして、これまでも児童扶養手当や特別児童扶養手当をまとめてきました。今回も自治体の公式情報をもとに、対象の条件・申請の流れ・見落としやすい注意点を整理します。
この手当のやっかいなところは、役所のほうから教えてくれるとは限らない点です。窓口は聞かれたことに答える場所。こちらが名前を知らなければ、案内されないまま終わってしまうこともあります。
読み終わるころには、わが子が対象になりそうか、まず何をすればいいかが分かるはずです。
障害児福祉手当とは?子ども本人に支給される国の手当
先に結論からお伝えします。障害児福祉手当は、精神または身体に重度の障害があり、日常生活で常時の介護を必要とする20歳未満の子どもに支給される国の手当です。
月額は16,560円(令和8年度)。支給は年4回、2月・5月・8月・11月に、それぞれ前月分までがまとめて振り込まれます。
特別児童扶養手当が障害のある子を育てる親に支給される手当なのに対し、障害児福祉手当は子ども本人に支給される手当です。役割が違う別の制度なので、条件を満たせば両方受け取れます。ここがいちばん大事なポイントです。

特児をもらっていたら、こっちは対象外だと思ってた…

別の制度なので併給できます。知らずに申請していない方が多いんです
特別児童扶養手当との違い
ふたつの手当は名前が似ているせいで混同されがちです。違いを表にまとめます。
| 特別児童扶養手当 | 障害児福祉手当 | |
|---|---|---|
| 誰に支給される? | 育てている父母など | 子ども本人 |
| 対象 | 中度〜重度の障害のある20歳未満の子 | 重度の障害で常時介護が必要な20歳未満の子 |
| 月額 | 等級により異なる | 16,560円 |
| 併給 | 障害児福祉手当と併給できる | 特別児童扶養手当と併給できる |
特別児童扶養手当の金額や対象については、別の記事で詳しくまとめています。

対象の範囲は特児より狭く、その中でも重度で常時介護が必要な子に限られます。療育手帳でいえば最重度・重度が目安になりますが、手帳の等級で自動的に決まるわけではありません。この点はあとの注意点で詳しく書きます。
対象になる子・対象外になる場合
対象の条件は次のとおりです。
- 20歳未満であること
- 在宅で生活していること(施設に入所している場合は対象外)
- 精神または身体の重度の障害により、日常生活で常時の介護を必要とすること
- 障害を理由とする公的年金を受け取っていないこと
- 所得が基準の範囲内であること
知的障害や自閉症のほか、身体障害・内部障害・精神疾患も対象に含まれます。障害の種類ではなく、常時の介護が必要な状態かどうかで判断される仕組みです。
所得制限は本人と扶養義務者の所得の2段階で判定されます。受給資格者は子ども本人なので、本人の所得が問題になることはまずありません。実際に見られるのは親の所得で、限度額の目安は扶養する家族が1人の場合で所得653万6,000円未満(令和8年8月以降の基準)。給与収入に直すとおおよそ850万円前後です。特児と同じくかなり高めの基準なので、所得制限という言葉だけであきらめる必要はありません。基準額は改定されることがあるため、正確な判定は自治体の窓口で確認してください。
なお、施設入所は対象外ですが、放課後等デイサービスや短期入所の利用は入所にあたりません。在宅で育てながら福祉サービスを使っている場合は心配いりません。
申請の流れと見落としやすい注意点
申請の窓口はお住まいの市区町村の障害福祉の担当課です。おおまかな流れは次のようになります。
- 窓口で相談し、所定様式の診断書用紙をもらう
- 医師に診断書を書いてもらう
- マイナンバー・本人確認書類・子ども本人名義の通帳などとあわせて提出
- 審査のうえ認定されれば、申請した月の翌月分から支給開始
ここからは見落としやすい注意点です。
まず、診断書は原則として必要です。療育手帳や身体障害者手帳を持っていても、手帳だけで自動的に認定されるわけではありません。手当専用の様式で、発行から3か月以内など期限の決まりがある場合が多いので、窓口で様式をもらってから受診するのが安全です。地域によっては手帳の内容で診断書を省略できる場合もあるので、まず窓口で確認してみてください。
次に、支給は申請した月の翌月分からです。さかのぼって受け取ることはできません。もっと早く申請すればよかったという後悔の声を本当によく聞きます。迷っている時間だけ損をする仕組みなので、対象になりそうだと思った時点で窓口に相談してください。聞き方はシンプルに、うちの子は障害児福祉手当を申請できますか、で十分です。
それから、小さいころに対象外と言われた経験があっても、あきらめないでほしいのです。認定は診断書の審査で決まるため、子どもが小さいうちは年齢相応の手のかかり方との区別がつきにくく、判定が付かないことがあります。成長して状態がはっきりしてから該当になるケースもあるので、時間が経っているならあらためて相談する価値があります。
もうひとつ、意外な落とし穴が振込先の口座です。この手当は子ども本人に支給されるため、振込先も親の口座ではなく子ども本人名義の口座になります。子ども名義の口座をまだ作っていないご家庭は多いはずです。申請の段階で必要になるので、動き出すときに口座開設もセットで考えておくとスムーズです。
最後に、認定後も所得状況届の提出など毎年の手続きがあります。案内が届いたら忘れずに出しましょう。
診断書の手配から毎年の届出まで、ひとりで抱えると気の重い手続きが続きます。相談支援専門員がついていれば、この書類まわりを一緒に進めてもらえます。

まとめ:特児とセットで確認したい手当
障害児福祉手当についてまとめます。
- 重度の障害で常時介護が必要な20歳未満の子ども本人に、月額16,560円が支給される
- 特別児童扶養手当とは別の制度なので、両方受け取れる
- 手帳の等級だけで自動的には決まらず、所定の診断書による審査がある
- 支給は申請の翌月分から。迷ったら早めに窓口へ相談を
- 役所から案内されるとは限らないので、自分から聞くこと。以前対象外だった子も、成長してから該当になることがある
こうした手当は、知っている人だけが受け取れる仕組みになっています。役所から個別に教えてもらえることは少ないので、この記事が確認のきっかけになればうれしいです。
参考にした情報
この記事の金額・支払時期・所得制限は、次の公的な情報をもとにまとめています。
- 厚生労働省「障害児福祉手当について」
- お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(申請書の様式や診断書の書式は自治体ごとに異なります)
制度の内容や金額は改定されることがあります。申請の前に、上記の厚生労働省のページと、お住まいの自治体の窓口で最新の情報をご確認ください。
障害児育児で使えるお金の制度は、ほかの記事でもまとめています。あわせて読んでみてください。



