「薬を飲ませた方がいいのかな。でも、なんか怖い。」
発達障害のお子さんを育てている方は、そう思ったことがありませんか。
わたしもずっと悩んでいて、もともと薬についてはかなり強い否定派でした。
でも、ぽんたに自傷行為が出始めたとき、初めて本気で向き合うことになりました。そして今、エビリファイを飲み始めてから、ぽんたのかんしゃくは劇的に減っています。
これは「薬を勧める記事」ではありません。ただ、わたしが迷って、悩んで、決断して、驚いた話を書きます。同じように迷っている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
自傷が出始めたころの話
ぽんたには小さい頃からかんしゃくがありました。でも、ある時期からその激しさが変わってきました。
かんしゃくを起こすと、泣きながら自分の顔を叩く。壁に頭をぶつけようとする。自分の腕を噛む。
最初に見たとき、心臓が止まりそうでした。これが自傷行為なのかと思い、焦って止めようとすればするほど激しくなって、どうすればいいかわからなくて、一緒に泣いていた日もありました。
それでも、薬には抵抗があった
自傷が出てきたころから、薬という選択肢が頭をちらつくようになっていました。でも、どうしても踏み出せなかった。
理由はふたつあります。
ひとつは、単純に怖かったから。薬=ぼーっとさせるもの、というイメージが強くて。昔見た映画のロボトミー手術後の場面が頭から離れなくて(古い映画です)、「ぽんたがぽんたじゃなくなるんじゃないか」と思っていました。
もうひとつは、「ありのままのぽんたを育てたかった」から。薬でかんしゃくをコントロールするって、なんかかわいそうじゃないか。この子の感情を薬で抑えるのは、親としてどうなんだろう。そういう気持ちがずっとありました。
決断のきっかけ
ある日、学校の先生から「支援学校では、わりとほとんどの子が薬を飲んでいます」と教えてもらいました。直接「飲ませてください」とは言われなかったけれど、ぽんたにも必要なんじゃないかと遠回しに伝えてくれていたんだと思います。
その後、主治医に相談しました。先生の答えはシンプルでした。
「自傷行為が出たら、飲み始めるタイミングです。」
それを聞いて、何かがストンと落ちた気がしました。「ぽんたの感情を抑える」んじゃなくて、「自傷から守る」ための薬なんだと。
飲み始めてから変わったこと
エビリファイを飲み始めてから、かんしゃくの回数が劇的に減りました。飲む前は1日に4〜5回、1回のかんしゃくが収まるまで30分ほどかかることもありました。それが今は、1日1回あるかないか、切り替えも10分ほどでできるようになりました。
学校でも、デイでも、「最近落ち着いていますね」と言われるようになりました。あんなに毎日激しかったかんしゃくが、こんなに変わるものなのかと、正直驚きました。
学校では、かんしゃくが起きると落ち着くまで個室に移動していました。その間は授業を受けられないので、学習の機会を失ってしまっていました。かんしゃくが減ったことで、ぽんたがちゃんと授業に参加できる時間が増えたのも、大きな変化のひとつです。
わたし自身も変わりました。かんしゃくが続く日々は、こちらも余裕がなくなって、ぽんたに怒ってしまうことがありました。でも今は、そういう場面がずっと減って、ふたりで穏やかに過ごせる時間が増えました。
薬を飲む前、わたしはずっと「ぽんたをコントロールしようとしている」という罪悪感のようなものを持っていました。でも、かんしゃくが減ったぽんたを見て、気づいたことがあります。
あのかんしゃくは、ぽんた自身も苦しかったんじゃないか。薬は感情を消したんじゃなくて、ぽんたが自分の気持ちをうまく扱えるように助けてくれているのかもしれない、と。
副作用もあります
いいことだけを書くのは正直じゃないので、副作用についても書きます。
飲み始めてから、眠そうにしている時間が増えました。しんどそうだなと思う日もあって、それは今も少し気になっています。
それから、食欲がかなり増えて、体重がだいぶ増えてしまいました。これはエビリファイの副作用としてよく知られているそうです。食事の管理に気をつかうようになりました。
今も、正解かどうかはわからない
「薬を飲ませて正解だったか」と聞かれたら、正直まだわかりません。
ありのままのぽんたを育てたかった気持ちは、今もあります。副作用のことを考えると、複雑な気持ちになる日もあります。
でも、自傷が減って、ぽんたが穏やかに過ごせる時間が増えたのは事実です。あの自傷を毎日見ていたころのわたしと比べたら、今はずっと楽です。
薬を選ぶことも、選ばないことも、どちらも正解だと思います。大事なのは、「怖いから」と目を背けるんじゃなくて、ちゃんと向き合って、主治医と話して、自分で決めることなんじゃないかな、と今は思っています。
まとめ
- ぽんたに自傷行為が出たことをきっかけに、エビリファイを飲み始めた
- もともと否定派だったが「自傷から守るため」と考えたら決断できた
- かんしゃくが劇的に減った(飲む前:1日4〜5回・1回30分 → 今:1日1回以下・10分ほど)
- 学校での個室移動が減り、ぽんたが授業に参加できる時間が増えた
- わたし自身もぽんたに怒る回数が減り、穏やかに過ごせるようになった
- 副作用(眠気・体重増加)もあるので、主治医とよく相談することが大事
- 今も正解かはわからないけれど、あのころより確実に楽になった
もっと早く決断していたら、と思うこともあります。でも、あの葛藤があったから、ぽんたの変化を心から喜べた気もします。自傷で泣いていたぽんたが、今は穏やかに毎日を過ごしています。同じ迷いの中にいるあなたにも、そんな日が来ることを願っています。

