重度知的障害のあるぽんたを育てていると、普通の子育てとは少し違った心配事があります。この子はいつまでオムツが必要なのかな。歯磨きは自分でできるようになるのかな。喋れないのにどうやって友達を作るんだろう。
可愛い寝顔を見ては、愛おしさと同時に心配もよくしていました。支援学校の中でぽんたがどのくらいの成長具合なのか、気になったりもしました。
重度知的障害・自閉症の息子ぽんたを育てるハルです。わたしは障害児育児でいつも余裕のない日々を過ごしていて、ぽんたができるようになったことに気づけずにいました。
そんなわたしが、ふと立ち止まって思い出してみた小さな成長の記録です。
思い出してみたら、いつの間にかできていたこと
完璧ではないけれど、トイレで用を足せるようになっていること。学校の懇談で、いまはお尻を隠して立って用を足す練習をしていますと聞いて、えっそもそも立ってできるんですかと驚きました。お尻を全部出さないようにする。そんな生きていくうえでの細かいところまで教えてくれる支援学校はさすがだなと思いました。
家でも見てみたくなってトイレで立ってやらせてみたら、的が難しくて溢れてしまいました。それ以来わが家ではお休み中です。
公園で今まで怖がっていたブランコに自分から座ったこと。小さい頃に乗せたときすごく不安がって泣いてしまったので、それからは無理に乗せるのをやめて公園ではいつも滑り台ばかりでした。
それがある日、自分から「あれ乗る」と言って座ったんです。わたしは嬉しくてカメラを向けました。すると笑顔でこちらを向いてくれました。その写真がわたしにはすごく嬉しかったです。
見様見真似で自分で歯ブラシを持って歯磨きをしていること。ある日わたしが歯磨きをしようとしたら「自分でする」と歯ブラシを持って口に入れて動かしたんです。すごいねと褒めると得意げな顔をしていました。
5秒くらいで終わってしまうし磨けているとは言えません。歯を磨くこと自体が全くできなかった子です。歯科衛生士なのに家でそこを教える余裕がわたしにはありませんでした。学校やデイが指導してくれたおかげです。磨けているかどうかより、自分で磨くということに興味を示してくれたのがすごく嬉しかったです。

デイで友達とキャッチボールができるようになっていたこと。これもデイの先生から聞きました。先生と練習したらしくて、わたしとはやったことがなかったので、同年代の子とそんな遊びができるのかと驚きました。
何も言わないのに食べた食器を片付けたとき。あれ、この子いつの間にこんなことできるようになったんだろうと思いました。
思い出してみると、いつの間にかできるようになっていました。
ただ、わたしが自分で気づけたことはあまりありません。学校の懇談で聞いた。デイの先生から聞いた。家の外の大人が教えてくれたことばかりでした。
毎日ずっと一緒にいると変化は案外見えないのだと思います。気づくきっかけは意外と外からやってきます。
できないことが当たり前だと、諦めかけていた
毎日が大変で、できないことが当たり前だと諦めてしまえば楽になる。そう思っていました。諦めた時の方が楽になれるんだと思ったり、でもそれは違うと思ったり。ずっと葛藤がありました。
周りの子と比べるとどうしてもしんどくなります。わたしも支援学校の中でさえ、ぽんたはどのくらいなんだろうと比べては落ち込んでいました。
でも比べる相手を変えてみたら少し楽になりました。よその子とではなく少し前のぽんたと比べる。怖がっていたブランコに今は自分から座って笑っている。比べる相手が過去のぽんたなら、出てくるのはできるようになったことばかりです。
わたしが気づいていないだけで、ぽんたは彼なりのペースで成長していました。
その場で気づいてあげられない自分を以前は責めていました。ちゃんと見てあげられていないのかなと。でも今はそれでいいと思っています。あとからでも思い出せる。気づくのが遅くたって、ぽんたの成長がなかったことにはなりません。
同じように心配しているあなたへ
綺麗事だけでは育てていけません。でも心配ばかりしているより、今はぽんたの成長に目を向けてあげようと少しずつ思えるようになりました。
同じように心配している人に、偉そうなことは言えません。わたし自身、先輩ママに励ましてもらって安心できた一人だからです。もしわたしが少し先を行っているのなら、あのとき渡された言葉をそのまま渡したいと思います。その子なりにできるようになることは、ちゃんと増えていきます。だからきっと大丈夫です。
今日一つだけ、お子さんのできるようになったことを思い出してみてください。あれ、これできてる。その小さな発見が明日の心配を少しだけ軽くしてくれるはずです。

