療育手帳って取った方がいいの?息子のぽんたに障害があるとわかったとき、最初に浮かんだのはこの疑問でした。存在は知っていたけれど、任意なら急がなくてもいいのか、そもそも取らなくてもいいのかがわからないまま、ずっと保留にしていました。
こんにちは、ハルです。重度知的障害と自閉症のある息子・ぽんたを育てているシングルマザーです。
周りに積極的に取得を勧めてくれる人もいなかったので、なんとなくそのまま時間だけが過ぎていきました。
この記事では、療育手帳の申請をなかなかできなかった私が、今「もっと早く取ればよかった」と思っている理由をお伝えします。同じように迷っている方の参考になれば嬉しいです。
療育手帳とは?「任意」ってどういう意味?
療育手帳は、知的障害のある方が取得できる手帳です。障害の程度によって重度・中度・軽度に分かれており、申請は市区町村の窓口からできます。
取得する前に最初に感じたのが、そもそも取らないといけないものなのか、という疑問でした。調べてみると、任意という言葉が出てきます。
任意と聞くと、じゃあ急がなくていいかと思ってしまいがちです。私もそうでした。
でも今思えば、任意とは取らなくてもいいという意味ではなく、自分で申請しないともらえないという意味でした。誰かが自動的に手続きしてくれるものではない、ということです。
「将来に影響する」という話を聞いて迷った

手帳を取ると将来に影響するって聞いて、不安で動けなくて…

わたしもまったく同じ理由で、ずっと申請できずにいました
先延ばしにしていたある日、療育手帳を持っていると将来に影響する、という話を耳にしました。それは積極的に取得するかどうか迷う理由の一つになりました。
この不安、感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
打ち明けると、私にはこの点を自分だけで判断することができませんでした。子どもの将来のことは誰にもわからないし、影響するという一言だけで判断するには情報が足りなすぎると感じていました。
正しい情報はなかなか見つからないのに不安を煽るような情報ばかりが目に入って、すっかり迷走していました。ネットで調べて不安になって、また後回しにする、その繰り返しだった気がします。
そんな状態がしばらく続いたころ、SNSで同じような障害のあるお子さんを持つお母さんが療育手帳について話しているのを見かけました。「あった方がよさそう、うちも取ってみよう」。気づいたらそう思っていました。大きな決意があったわけではなく、それがきっかけで動き出した感じです。
将来に影響するって、具体的に何のこと?
将来に影響する。わたしを止めていたのは、その一言でした。
でも、いま振り返ると、わたしは影響という言葉の中身を一度も確かめていませんでした。何がどう影響するのかを知らないまま、ただ怖がっていたのだと思います。
調べ直してみると、不安の正体は3つに分かれていました。ひとつずつ見ていきます。
保険に入れなくなるのでは?
生命保険を申し込むとき、伝えるように求められるのは、いまの健康状態、過去の病気やけがの経歴、そして職業です。手帳を持っているかどうかを聞かれるわけではありません。
つまり、手帳を取ったから入れなくなる、という順番ではないということです。判断のもとになるのは障害や病気そのもの。手帳を取らずにいても、そこは変わりません。
健康状態に不安がある人のために、聞かれる項目を少なくした保険(引受基準緩和型)や、告知そのものが要らない保険(無選択型)を扱っている会社もあります。通常の保険より保険料は高くなるので、まず普通の保険に入れるかどうかを確認してから検討する順番がよさそうです。
ただし、引き受けの基準は会社ごとに違います。気になる場合は、加入を考えている保険会社に直接確認してください。
進学や就職で不利になるのでは?
手帳があると、障害者雇用という働き方を選べるようになります。企業が障害者雇用として人数に数えられるのは、手帳を持っている人だからです。
大事なのは、選べる道が増えるという点です。手帳を持ったからといって、一般の求人に応募できなくなるわけではありません。どちらで働くかは、本人が決められます。
そして、手帳を持っていることが進学先や就職先に自動的に知らされる仕組みはありません。伝えるかどうかも、自分で選べます。
一度取ったら、ずっと持ち続けないといけないのでは?
わたしがいちばん誤解していた部分でした。
手帳が交付されるとき、次回の判定時期があわせて指定されます。一度受け取ったら自動的に一生ものになる、というものではありません。
あとになって知ったのですが、療育手帳は一度取ったら一生持ち続けるものではなく、必要がなくなれば返納できます。持っていることを進学先や就職先に自分から伝える義務もありません。将来への影響が不安で動けない方は、この2つを知っておくだけでも少し気持ちが軽くなるかもしれません。
判定の基準や運用のこまかい部分は、自治体ごとに定められています。返還の手続きも住んでいる場所によって窓口が違うので、詳しくはお住まいの市区町村で確認してください。
ショックはあったけれど、開き直りました
制度の話から少し離れます。
申請したころのわたしは、ぽんたの障害がどのくらいのものなのか、まだつかめていませんでした。重いのか軽いのか、成長したらどう変わるのか、何もわからないまま窓口に行きました。
手帳が届いた日、飛び上がって喜んだかというと、そうではありません。少し悲しい気持ちもありました。
ただ、引きずったのは長くありませんでした。そのうちに、あるものは使い倒そうと思うようになりました。動物園も水族館も、高速道路も、使えるものは全部使う。
手帳はぽんたを変えるものではありませんでした。ぽんたは前の日と同じぽんたで、変わったのはわたしが使える窓口の数だけです。
うれしくなくても大丈夫だと思います。使えるものが増えた、くらいの気持ちで受け取れば十分です。
実際に取ってよかったこと
ぽんたの手帳を取得してからは、日常のいろんな場面で助かることが増えました。
- 動物園・水族館などの入場料が無料または割引になる
- 駐車場の割引が使える
- 高速道路のETC割引が適用される
- 税金の控除が受けられる
それから、国からの手当もあります。障害のある子どもを育てている保護者を対象にした特別児童扶養手当という制度があり、療育手帳の取得をきっかけに申請できます。所得制限はありますが、対象になれば毎月の家計を支えてくれる大きな手当です。こんな制度があったんだと知ったとき、もっと早く調べればよかったと思いました。
迷っていたあいだも、使えたはずのサービスや割引がたくさんありました。
割引が使えるとわかってから、動物園や水族館に行くハードルは少し下がりました。とはいえ、お出かけそのものが大変なことに変わりはありません。当日の動き方で少し楽になった工夫は、こちらの記事にまとめています。

迷っているなら、まず相談の一歩を
私が動けなかった理由は、任意の意味がよくわからなかったことと、将来への影響が心配だったこと。でも今思えば、もっと早いタイミングで申請すればよかったと思います。
まずは市区町村の窓口か相談支援専門員に「療育手帳について教えてください」と問い合わせてみてください。相談しただけで、必ず取得しなければいけないわけではありません。申請するかどうかはそれから決めても遅くないので、まず話を聞きに行くだけでいいんです。
福祉サービス全体については、こちらの記事もあわせて読んでいただけると参考になるかもしれません。

取るかどうかを決める前に、確認しておきたいこと
窓口で聞くときのために、整理しておきます。
- 判定の基準や運用は自治体ごとに違います。自分の市区町村で聞くのがいちばん早くて確実です
- 次回の判定時期は、手帳が交付されるときに指定されます。いつ見直しになるのかを受け取った時点で確認しておくと安心です
- 不要になった場合は、届け出て返還できます。一度取ったら終わりではありません
- 相談しただけで申請が確定するわけではありません。話を聞いてから決めて大丈夫です
最後に、ひとつだけ。
わたしは、もっと早く取ればよかったと思っています。でも、取るべきですとは一概には言えません。子どもによって、必要になるタイミングも中身も違うからです。
ここに書いたのは、わたしが何を怖がっていて、確かめてみたら何がわかったか、までです。読んだうえで、やっぱりもう少し待とう、という結論でもいいと思います。
まとめ
療育手帳は任意ですが、取らなくていいという意味ではありません。取得することで使えるサービスや割引が増え、日常が少し楽になります。
迷っている方は、保留のまま時間が過ぎてしまう前に、まず専門家に相談してみてください。
この記事はわたし個人の体験をもとに書いています。制度の内容は自治体や状況によって異なりますので、詳細はお住まいの窓口でご確認ください。
参考資料
- 厚生労働省 障害者手帳について
- 厚生労働省 障害者雇用率制度について
- 大阪市 療育手帳(再判定・返還の運用例)
- 公益財団法人 生命保険文化センター 健康上問題があると、生命保険は契約できないの?
療育手帳があると使える手当・割引については、こちらの記事もあわせてどうぞ。

最後まで読んでいただきありがとうございました😊

