「障害のある子どもを歯医者に連れていけない」
「どうすればうまく受診できるの?」
そんな悩みを抱えている方、きっと多いと思います。
うちの息子ぽんた(重度知的障害・自閉症)は、歯医者の近くの道を通るだけで顔色が変わります。当日の朝に「今日歯医者だよ」と伝えると、テンションが急降下して、吐いてしまうことも。
私は歯科衛生士ですが、それでも毎回しんどいです。
この記事では、試行錯誤しながら私が続けている「当日の工夫と準備」と、今うちがたどり着いた受診のかたちをご紹介します。完璧な方法ではないけれど、一つでもヒントになれば嬉しいです。
私がやっていること3つ
① 告知は当日の朝、一言だけ
「今日、歯医者行くよ」と短く伝えるだけにしています。
前日や数日前に伝えると、その分だけ長く不安を抱えさせてしまいます。長い説明も逆効果になることが多いので、シンプルに一言だけ。
② 歯医者の近くで「ここだよ」と声をかける
向かう途中、歯医者の近くを通るときに「ここが今日行く歯医者さんだよ」と伝えます。突然知らない場所に連れ込まれるより、「知っている場所」にしておく意識です。
それでも道を通るだけでしんどそうにすることはあります。でも、何も言わないよりは少しマシな気がして続けています。
③ 終わったら、好きな外食に連れていく
これが今のところいちばん効いています。
「歯医者が終わったら〇〇食べに行こうね」と事前に伝えておく。ご褒美というより、「終わりの見通し」を持たせるイメージです。
自閉症の子は「このあとどうなるかわからない」という不安がとても強いです。「歯医者のあとに楽しいことがある」という流れを体で覚えてもらうことで、少しだけ気持ちが落ち着くように感じます。
結局、当日は「抑制」になる
どんなに準備しても、治療中は体を押さえてもらうしかない場面があります。
泣いていても、怖がっていても、治さなければならない。それが一番つらいところです。押さえられながら治療を受けるわが子を見るのは、毎回胸が痛いです。
発達障害があっても絵カード等で見通しを立ててあげて、根気強く通院し訓練すれば、ぽんたのように抑制する必要がない場合もあります。
体が大きくなったら、障害者歯科へ
ぽんたが成長するにつれて、抑制での治療も難しくなってきました。そこでかかりつけの歯科医に相談して、障害者歯科のある病院を紹介してもらいました。
「障害者歯科ってどうやって探すの?」と思う方も多いと思います。いちばん確実なのは、今通っているかかりつけの歯科医に「障害者歯科を紹介してほしい」と相談することです。インターネットで「お住まいの地域名+障害者歯科」と検索する方法もあります。
初診は「検査だけ」から始まった
障害者歯科に初めて行ったとき、いきなり治療はありませんでした。まず「全身麻酔に耐えられる体かどうか」を確認するための検査だけです。
この検査自体も、静脈麻酔で眠った状態で受けます。
検査が終わっても、なかなか目を覚ましませんでした。1時間ほど待機してようやく意識が戻りました。
初めての障害者歯科受診を考えている方へ、「最初は治療ではなく検査からが多い」ということを知っておくだけで、少し心の準備ができると思います。
今は、全身麻酔で治療しています
検査をクリアして、今は全身麻酔をかけて眠っている間に治療をしてもらっています。
本人は気づかないうちに終わる。受診中に怖い思いをしなくていい。それは、ぽんたにとって大きなことだと思っています。
ただ、全身麻酔にはリスクがあります。心配性な私には、それが怖いです。「眠らせて治してもらえる」という安心感と、麻酔への不安が、毎回同時にあります。それでも今のところ、これがぽんたにとっていちばん負担の少ない方法だと感じています。
日頃の口腔ケアについては、こちらの記事もあわせてどうぞ。
→ 歯科衛生士の私が、息子の虫歯を防げなかった話【重度知的障害児の口腔ケア】
まとめ(ぽんたの場合)
- 告知は当日の朝、シンプルに一言
- 歯医者の近くで「ここだよ」と声をかけて場所に慣れさせる
- 終わったご褒美(好きな外食)で「終わりの見通し」を持たせる
- 抑制が難しくなったら、かかりつけ医に障害者歯科を紹介してもらう
- 障害者歯科での初診は治療ではなく、全身麻酔が可能かどうかの検査から始まる
- 全身麻酔という方法もある(リスクはあるが、本人の負担は大きく減る)
同じように悩んでいる方へ、うちもまだ試行錯誤中ですが、一緒に乗り越えていきましょう。

